トンデルの論文と、LNTを使ってECRRは10年で10万人という福島リスク計算を出している。

元に戻ってECRRは福島リスク計算をどうやって出したのか。

  1. 2µSv/hで100キロ圏が一様に汚染され、全部セシウム137だと仮定した。
  2. 空間線量のデータから逆算して表面汚染の崩壊数を計算した(空間線量と表面汚染の関係は以前に書きました)。
  3. 放射性物質は崩壊しても減衰しないと仮定した。
  4. 人は退避しないと仮定した。
  5. 表面汚染による外部被曝と癌の発症の増加比率は比例すると仮定した=ほぼLNT。*1
  6. 癌の死亡は10万人あたり462人を使った。
  7. 100キロ範囲の人口338万人を使った。
  8. その係数にトンデルの論文の100kBq/m2で増加比率11%という値を使った。

以上です。これらのうち、どれが間違った仮定であるかは、ここまで読んできた人には分かると思いますが、一番の肝はトンデル論文です。これが上に述べたようにガタガタです。そもそも、トンデルのいう係数は補正をしないと2番目に高濃度に汚染されている60-89kBq/m2の地域、90−120kBq/m2に隣接した地域、にすら当てはめることができない。その計算をなぜ福島なら当てはめられるのか。従って、
ECRRの数字は妄想から繰り出したもの
であると言えます。

*1:ただし、ICRP99での放射線による癌の増加はトンデルの言っている増加比率ではない。被曝した集団の癌確率=p 被曝していない集団の癌確率=q、線量をD、定数である係数をβとすると、トンデルは、(p-q)/q=βDと仮定しているのに対して、ICRP99は、p-q=βDと仮定している