DDREFと実際の放射線防護は無関係。

ただ、私の意見ではことの本質はそこにはありません。『DDREFは実効線量の計算を変更しているのではなくて、低線量低強度被曝の場合の実効線量の効果が、高線量での結果の何分の一かを計算する係数であること(つまり、DDREFが2なら、効果は半分になる)』です。ところで、実際の防護は、『効果を基準にして行うのではなく、実効線量を基準にして行う』わけですから、実際の防護はDDREFがいくらであろうと、無関係です。例えば、外部被曝の参照値が年間10mSvであるとするならば、DDREFがいくらの値であっても、参照値は10mSvであって、実際の防護の行動はDDREFによらず全く同じです。NHKは『低線量のリスクを半分にしている』と言いますが、それは『ある線量の仮想的なリスクをどの程度と考えているか』という机上の空論の話で、文学の問題。『この人は美人か不細工か』と議論しているだけのことです。
 実際、公衆に対する通常の基準は1985年に5mSv/年から1mSv/年に引き下げられたままで、ICRP pub 60がDDREFを導入していた1990年には変更されていません。