日本語の通常の使い方と混同する人がいるので、いくつかのICRPの用語は括弧つきにしてある。

ここで出てくる『正当化』は倫理的に正当化するという意味ではない。ICRPの用語では、『正当化』は被曝をする状況と、被曝をしない状況を比べて、種々の状況を踏まえた上で、被曝する状況を選択しうる(=現存被曝状況では、そこに居住可能とすること)を指す。

この『最適化』は、通常の日本語に似ているが、ここでは『同じ被曝するにしても、様々な条件を考慮しながら線量を下げる(=ALARA, 合理的に達成可能な限り低く)ことを意味する。

この『参照レベル』はpub 90までの『拘束値』と対照的な概念で、集団のうち、被曝の高い人を優先的に防護するための指標。『拘束値』は計画被曝状況(=線源が制御されている状況、例えば原発労働者)で使われる値。ある一定値を越えたら退場する基準。

現存被曝状況は、簡単に言えば、個人の実効線量で1-20mSv/年の範囲であり、線源が制御できない状況で、かつ新たな流出は制御されている状況。ちなみに、ここで言っている個人の実効線量とは、自然被曝、医療被曝を除いた追加被曝のこと。この追加被曝が1mSv/年を切る状況ではICRPは特段の防護措置は要らない、と言っている。