Suzanne's diary for Nicholas

Suzanne's Diary for Nicholas

Suzanne's Diary for Nicholas

Suzanne's Diary for Nicholas

Suzanne's Diary for Nicholas

これには衝撃をうけました。同じ作者かと思うくらい趣の全く違った本です。

ニューヨークのマンハッタンで編集者をしているケイティーが、恋人のマットに捨てられる。しかも、その後、日記を送りつけてくる。その上、ケイティーはマットの子供を身ごもっている。さらに、その日記はマットの書いたものですらなく、実はマットの妻スザーヌがマットの子供ニコラスのために書いたもので、それをマット本人が捨てた恋人ケイティーのために送ってきたのです。日記はスザーヌとマットの出会い、マーサズビンヤード(ボストンに近いケープコッドのそばの島)での美しい生活、が続いた後に、衝撃的な事件へと発展していきます。捨てられたケイティーがその日記を風呂場でお湯につかりながら読む。そういう話です。スザーヌの視点からみたマットへの愛情、子供への暖かいまなざしが、ほどよくあふれています。スザーヌはその愛情の価値を知り、マットも知り、ケイティーも事情を理解していきます。

本を読むのと違うのは、朗読をする女性、ベッキー・アン・ベイカーがあまりにも上手なことです。
実際、本を読んでいる時は、私の場合、頭の中で声に置き換えているのですが、その声がダイレクトに入ってくると、感情移入の度合いが違います。この朗読の場合は、誰がどの視点で書いているのかを声色をかえて読んでいます。魂のやわらかいところとは、こういう本のことをいうのだと思い知らされます。