2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

イギリスの内部被曝調査委員会がクリス=バズビーをどう批判したのか

CERRIE=Committee Examining Radiation Risks of Internal Emitters=内部被曝調査委員会、はその名もズバリ、内部被曝の影響を最新のデータで持って議論し、共通見解を出そうというイギリスの野心的な試みです。これが野心的であるというのは、委員の構成を…

おまけ。

断片的ながら、Nesterenkoの論文(2004)にはこういう部分があります。全体の分布はよく分かりませんが、非常に高い汚染もあるようです。汚染されていないものを食べさせるだけで、セシウムの蓄積は防げるものですから、最終的には投下する金の問題にな…

ただし、ラットを使った別のグループの動物実験では、ものの見事にアップルペクチンが効いていない。

Gall, Biochemie 88: 1837, 2006 Comparison of Prussian blue and apple-pectin efficacy on 137Cs decorporation in ratsフランスのグループがラットを使って動物実験を行ったものですが、プルシアンブルーとアップルペクチンを比べたものです。 セシウム…

BELRADからのもう一つの論文

アップルペクチンについては、ほとんど同内容の600人規模での論文をBELRADのNesterenkoとドイツの会社との共同で出していて、 Hill, Radiation Protection Dosimetry 125: 523, 2007 STUDIES ON THE CURRENT 137CS BODY BURDEN OF CHILDREN IN BELARUS―CA…

アップルペクチンは効いているみたい。

さらに、Nesterenkoたちが次のものを出しています。 Reducing the 137Cs-load in the organism of “Chernobyl” children with apple-pectin Nesterenko, SWISS MED WKLY 134:24, 2004出している雑誌は、上と同じ。 この論文の大意は、ベラルーシの汚染地域で…

汚染された自作の食べ物を食べている子供の内部被曝が高い。

Relationship between Caesium (137Cs) load, cardiovascular symptoms, and source of food in “Chernobyl” children – preliminary observations after intake of oral apple pectin Bandazhevskaya, SWISS MED WKLY134:725, 2004この論文は、先日のユーリ…

アップルペクチンの話はBELRADからの話。

アップルペクチンが体内からのセシウム排泄に効くという話を出しているのは、バンダジェフスキーや、ネステレンコたち、ベラルーシのグループです。ベラルーシでは、アップルペクチンからヴィタペクトという製品を作っています。BELRADで使ってるアップルペ…

アップルペクチンはセシウム被曝を軽減するのか?

ペクチンは、果実や海藻などに含まれる複雑な多糖類です。セシウムは腸管から再吸収されて体内を循環すると考えられていますが、アップルペクチンは腸管内のセシウムと結合して再吸収を阻害し、便としてセシウムを排泄すると考えられています。よく知られて…

このセシウム137は小児甲状腺癌を引き起こさない。

セシウム137が甲状腺に集積するかの方の歯切れは悪いのですが、セシウム137が小児甲状腺癌を引き起こさない、こちらは明白です。 Cancer consequences of the Chernobyl accident: 20 years on J Radiol Prot 26: 127, 2006 によると、小児甲状腺癌は…

ユーリ•バンダジェフスキーとはどういう人か。

英語のWikipediaによれば、もっとも有名なのは、チェルノブイリの実験の結果を発表したとして、ベラルーシの当局に逮捕され投獄された、と言われていることです。当局の主張では、学生の親から賄賂を受け取ったという罪で投獄したことになっています。200…

この論文には三つのデータの整合性がない。

この論文の出しているデータとして、それぞれなりにセシウム137の蓄積は見られるものの、二つの表と一つのグラフに載っているデータは同じ物ではなく、平均ですら大きく異なります。私が査読をしているのなら、この段階で、実際の個々のデータを要求して、自…

1997年のゴメル地域での52人の10歳までの子供の検屍で測定した各臓器のセシウム137は甲状腺、副腎、膵臓に多い。

これは表2に載っているものです。この表の説明には52人と書いてありますが、本文中は51人と書いてあるのは、ご愛嬌です。13臓器の測定の平均と標準偏差を載せていますが、この13臓器は表1のものと違って、骨格筋が入っていて、胃が抜けています。…

1997年のゴメル地域での検屍でのセシウム137は各臓器において小児の方が多い。

ゴメルはベラルーシで、チェルノブイリ事故でのセシウム汚染が最も高い地域です。図1に示されているように、調べられた全ての臓器で、セシウム137は小児の方が多い。この事自体は、子供の内部被曝の危険性が高いということを示唆しています。ただし、この図…

1997年に行った10歳以下の6例の子供の検屍の結果は、心臓、甲状腺、副腎、膵臓に非常に高いセシウム137の集積を示す物がある。

これが、表1に示されているものです。人の筋肉のカリウム40が100Bq/kgであることを基準に考えると、非常に高い値であることが分かります。ただ、この表1のデータは、次に説明する図1と一致していないし、(図1では甲状腺の平均は1200Bq/kg、この表…

セシウムとカリウムは似た挙動を示す。

最初に、復習します。周期律上セシウムはカリウムと同じ仲間で、セシウムの体内の挙動はカリウムと似ていると考えられています。カリウムは細胞外液には乏しく、細胞内に貯留されるので、量としては体内の最大の実質臓器である筋肉がほとんどを占めることに…

バンダジェフスキーの論文

以前、汚染地域でのセシウム集積についての論文を読みましたが、近頃、セシウムが甲状腺に集積するという話が出てきています。その元となっている論文は、 Chronic Cs-137 incorporation in children's organs Y. I. Bandazhevsky Swiss Med Wkly 133: 488, …

セシウムは甲状腺に集積して、甲状腺癌を引き起こすのか?

結論から書くと、ある程度は集積するかもしれないが、極端に集積する訳ではない。ただし、小児甲状腺癌は引き起こさない。なんだか歯切れが悪い結論ですが、この甲状腺や、内分泌器官に集積すると主張しているのは、私の知っている限り、バンダジェフスキー…