この論文には三つのデータの整合性がない。

この論文の出しているデータとして、それぞれなりにセシウム137の蓄積は見られるものの、二つの表と一つのグラフに載っているデータは同じ物ではなく、平均ですら大きく異なります。私が査読をしているのなら、この段階で、実際の個々のデータを要求して、自分で検算します。
また、『セシウム137を測っている』なら、同時にセシウム134とカリウム40が測れる筈です。従って、私なら、セシウム134とカリウム40のデータを要求します。なぜカリウム40が大事かというと、以前に読んだオーストリアでの実測例をみれば分かるように、カリウム40の値はだいたい100Bq/kgでセシウム汚染などに関わらず一定だからです。逆にこれが一定であれば、測定している値が現実と合っているという証明になります。セシウム134は半減期2年なので(オーストリアの例では実質半減期はもっと短い)、事故後11年経っているこの時点ではずっと減っているはずだと予測できます。また、この論文では測定自体はフランスでも行った*1と言っているので、そちらからでもデータは出せる筈です。以上まとめると、『こういう報告がある』としか言えません。

*1:ただし、フランスのどことは書いていない