このセシウム137は小児甲状腺癌を引き起こさない。

セシウム137が甲状腺に集積するかの方の歯切れは悪いのですが、セシウム137が小児甲状腺癌を引き起こさない、こちらは明白です。
Cancer consequences of the Chernobyl accident: 20 years on
J Radiol Prot 26: 127, 2006
によると、小児甲状腺癌は、ベラルーシでの小児甲状腺癌(14歳以下)は事故4年後から顕著に増加し、事故後9年後の1995年にピークを迎えた後、事故16年後の2002年には事故以前の状態に戻っています。

これは、持続的な被曝ではなく、事故直後の短い時期に(おそらく半減期8日のヨウ素131で)被曝したことを意味し、半減期30年のセシウム137がたとえ甲状腺にいくらか蓄積されていったとしても、そのことで小児甲状腺癌は増えていません。言い換えれば、福島で今から生まれてくる子供は、セシウムによる被曝があっても放射能による甲状腺癌になりません。*1

また、この被曝による甲状腺癌の増加は被曝時年齢にはっきりと依存し、明らかに15歳以下のリスクが高い。そして、成人での甲状腺癌の顕著な増加は認められていません。以上が、セシウム甲状腺に若干蓄積するとしても、甲状腺癌を引き起こさないという話でした。

*1:このチェルノブイリでの小児甲状腺癌はベラルーシで4000人の発症で死亡が20人程度と、死亡率は低い。また、少しずれますが、小児甲状腺癌が減少したことをもって、検査バイアスがないことの証明にはならない、というのが私の意見です。