汚染された自作の食べ物を食べている子供の内部被曝が高い。

Relationship between Caesium (137Cs) load, cardiovascular symptoms, and source of food in “Chernobyl” children – preliminary observations after intake of oral apple pectin
Bandazhevskaya, SWISS MED WKLY134:725, 2004

この論文は、先日のユーリ=バンダジェフスキー奥さんである小児科医のバンダジェフスカヤの論文です。出している雑誌は、先日のバンダジェフスキーのセシウム論文を出した所と同じ。大意は、16日間ペクチンベラルーシのゴメルの子供に食べさせ続けると、体内からのセシウムが排出され、心電図などを測ると心機能が若干向上した、ということです。ペクチンを摂取して問題がでた子供はいなかったと言っています。実験の時期は正確には書いていませんが、『チェルノブイリから17年後』と言っているので、2003年頃となります。この論文は、『予備的な*1』とあるように、ペクチンに対するコントロールとしての偽薬*2がないので、論文としては不完全です。

この論文で興味を引かれるところは、アップルペクチンそのものの話ではなくて、子供のセシウム被曝の程度です。

表1にあるように、著者等は、子供達(平均年齢11−12歳)を3つのグループに分け、その子供達が『自分のところで作ったものをを食べているのか』を調べています。彼らが高度汚染グループと呼ぶ子供達(平均122±18.5 Bq/kg)は、全員が自分のところで作った食物をとっており、中度汚染グループ(平均38±2.4 Bq/kg)や、低度汚染グループ(< 5Bq/kg)では自作の食物をとっている子供の割合が減ります。これから分かるのは、

  • そもそも、一部の子供達の食事はコントロールされていなくて、汚染された農村の地元の食べ物を食べさせていること、
  • 5Ci/km2(=185kBq/m2)以上の汚染地域からの子供で、高度汚染は100Bq/kg強であること、

また

  • 彼らの全身被曝計測器(whole body counter)の感度は5Bq/kgであること

です。従って、先日のユーリ=バンダジェフスキーが出していた、平気で数百ベクレルや数千ベクレルを越えている臓器を持っていた子供は、平均的な例ではないのではないかと思います。

*1:preliminary

*2:placebo