『家族』で説得してるのではない

命令をいかに実行するかだけ考える米軍将校が、気迷いの表情を見せるイラク人にアピールできるのはただひとつ、「家族」である。「これは君の家族を養うみちなのだ。職を得るみちだ。誰だって、家族を養う仕事が必要なんだ」。しかし中佐は、イラク人たちが所属する部族、宗派、さらに「あいつの先祖が百年前にうちのヤギを盗んだ」といったヴェンデッタ(報復)関係など何も知らない。

本当に『家族』を使って説得しているんでしょうか?

前述の、

Iraqi Security Forces Torn Between Loyalties
Work for U.S. Leaves Recruits Uneasy
by Anthony Shadid, The Washington Post

November 25th, 2003

では、確かに、イラク人は『家族を養わんとなあ』と言っています。

"We have children, we have families and we need to live," said Yusuf,
sitting with the others on a stack of railroad ties, as a brisk wind
blew over them. "We don't love the Americans, but we need the money.
It's very difficult, but there's no alternative."

つまり、

『僕ら、子供も、家族もいるし、生きていかんと。アメリカ人大好き、という訳
じゃないが、金は要る。とてもつらいが、他に手がないんだ。』積んである枕木
に仲間と座っているユスフがいう。ヒューンと頭の上を風が吹いている。

ということですね。
しかし、ジャクソン中佐はこう言っています。

"I try to tell them it's not loyalty to me, it's loyalty to your
community," he said. "I tell them, 'What are you going to do when it's
just you downtown? That's what you need to be trained and prepared for,
because eventually that's going to come.' "

『私に仕えるのが大事なんじゃなくて、自分のコミュニティに仕えることが大事
なんだ、と伝えようとしてんだけれどね。「街にいるのがオマイラだけなら、ど
う対処する気だ?そのために訓練しているんだし、準備してんだよ。いずれ、そ
うなるんだから」と言っているんだ。』

家族じゃないんです。大事なのは『コミュニティ』なんですね。