Brian Lehrer Show (WNYC)

これも、iTuneで聞けますが、www.wnyc.orgからBrian Lehrer Showを選ぶと、全放送をmp3で落とすことができます。
このBrian Lehrer ShowはWNYCの中でも珠玉の番組で、まず、Brianの声がいい。的確な質問からいかに彼がすぐれたインタビュアーかがわかります。電話のスクリーナーも有能で短時間に非常に面白い意見が聞けます。不適当な電話を切る時の絶妙なタイミングといい、とにかく、双手を挙げてお薦めします。

最近一番面白かったのは、CIAのもとエージェントBearが語る『Truth Laid Bear』でした。彼は映画のシリアナのモデルになった人なのですが、今はCIAをやめて、自爆攻撃をしている人のインタビューの映画をとって公開しています。イランの殉教者博物館へ行った時に、今のイランの大統領が案内してくれた話、最初の自爆攻撃の人の家族をインタビューした話、など、いろいろあります。彼の意見では、米国はイラクから撤退すべく(もともと侵攻すべきでなかった)、イランの軍事的脅威のもとに米兵をさらし続けるのはやめるべきだと言っていました。もともとイラクは3分裂した国家なのだから、サダム・フセインだけ暗殺なりなんなりして、バース党の誰か米国ともうちょっとうまくやっていける人に交替させれば済んだことだというのが彼の意見です。米国のイラン攻撃はありえず、もし攻撃すれば、石油の一バレル300ドルは覚悟せよと言っています。ちなみに、この表題は、Truth laid bare『赤裸々にされた真実』という言葉とのだじゃれです。

Brian Lehrerの最近の番組で『人工授精でできた余分な胚を捨てるのは倫理的に問題はないのか』という電話討論をしていました。ブッシュ大統領の話でも、幹細胞に使われる胚は人間になりうるのだから『養子』に出すべきだ、と言っています。私の感覚では、『不必要なら幹細胞にするなり、捨てるなりすればよいのではないか?』と思うのですが、こういうのは命を粗末にするイケナイことなのだそうです。こういう信じられないことにコダワル感覚は本当に分かりません。そんなことを言えば、『脳死と臓器移植はどうなる?』と思うのですが、こっちには倫理はリンクしないようですね。

私の住んでいるところの近くの中絶クリニックの前で、日曜日などに、キリスト教徒の人たちが、胎児の模型を道ばたに置いたりして、ぶつぶつお祈り(もしくは嫌がらせ)をしているのを時々見かけます。こういう人たちのうちの過激派の人がクリニックを爆破したりするのです。私は『どうせ中絶する人は問題を抱えているのだから、さらに問題を付け加えてどうするつもりなんだ?』と思います。

ただ、この幹細胞について共和党が一枚岩という訳ではなくて、レーガン元大統領の夫人のように、中絶はだめだけれど、幹細胞は(アルツハイマー病など不治の病の研究のためには)必要である、という立場も強くなってきています。米国ではそういう金持ちが増えれば、そういう意見が強くなるのでしょう。実際、臓器移植など金持ちだけの問題なので、(貧乏人はそもそも脳死になる側にしかなれない)『問題ない』のではないかと私は疑ってしまいます。