The Mephisto Club: A Novel作者: Tess Gerritsen出版社/メーカー: Ballantine Books発売日: 2006/09/12メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見る

これはTess Gerritsenの新作です。

Gerritsenの作品の構成は、

  1. ある事件A
  2. Jane Rizzoli刑事と検死官のMaura Islesによる事件B

(これの繰り返し)


3最終的に事件Bが事件Aと統合する結末。

ということになっています。
例えば、ゴダールのマリア

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を思い出していただけると分かりやすい。ただし、ゴダールには最後の統合はありません。

特定の検死官と刑事の話としては、Patricia Cornwellのマリノ刑事とスカーペッタ検死官のことを思い出します。両方とも人物描写を前作から引き継いでいるという点で省エネ設計になっています。

今回のメフィスト・クラブでは、背景に死海文書が出てきます。人間と堕天使の子孫のネフィリムが本当に存在し、それが人間の顔をした犯罪者になっている。それを追求するためのクラブがメフィスト・クラブなわけです。おどろおどろしい背景をつけるところは、エヴァ

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のようなものです。ただ、人でない物が本当に怖いかと言うと、あまり怖くはない。人でない物を持ち出したために、結末のつけ方が論理的に整合せず、『人でないからどんなことでもできてしまう』という風になっています。

今回の死海文書の扱いは、明らかにダン・ブラウンダビンチ・コード

The Da Vinci Code (Robert Langdon)

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の影響を受けています。キリスト教の伝統的説明以外に別の歴史があり、その秘密の記号があるということです。しかし、その秘密は明かされないまま、リゾリ刑事が犯人を射殺して、不明な背景は不問にされてしまいます。それが私には不満でした。