日本改造論
草加さん:
「政治と金」は、小沢的なるものを象徴的にあらわすキーワードにすぎないと思います。 (中略)だいたいがですね、今どこにいるやらわか らないとか、連絡もとれないとか、首相や党の代表も会うことができない、何を考えているのかさっぱりわからない、それなのに「実力者」で「豪腕」で、自分 は表に出ないで裏から事態をコントロールすることを好む。いったい裏で何をしているのかわからない。(中略)もうはっきり言って、小沢的な政治手法には、みんな辟易しているのではないでしょうか。そういう何を考えているのかわからない。何かを語ってもそのまんま お人よしに受け取ることができない。そういうところに「政治と金」のスキャンダルが出ると、「やっぱりね」くらいにしか思ってもらえないんですよ。政治な んてそんな権謀術策だとか、最後は金と数と力だというリアリズムもあるでしょうし、それをすべて否定するものではありません。ですが「マスゴミ」に責任を 押し付けて(確かに酷すぎる下品なものが多かったけれど)、不人気の責任は小沢さん本人には何もない、改める必要などまったくないとは思えません。その原 因や責任は「マスゴミの陰謀」だけではないと思います。
これはいくつかの問題が一緒になっています。
1)小沢一郎の政策や政治的位置が草加さんには分かりにくいこと
2)小沢一郎の政治手法が表にでないものであること、または、小沢一郎のメディアリレーション(メディアに対する広報)がよくないこと
小沢一郎の政治的立場については、90年代初頭の日本改造論から大筋変わっていません。おそらくそれは、冷戦終結後の世界の変化による日本の立場が定まらず漂流している状況が変わっていないからです。多数決による民主主義により決断のできる政府を作るという目標は変わっていません。自立した自治と自立した国家という目標も変わっていません。先日の一新会での講演でも同趣旨のことを話していますから、それを見ると分かりやすいのではないかと思います。
小沢一郎は、日本の民主主義には多数決はなく、55年体制は実質的に全会一致であったと言っています。田中角栄以来の政治は日本が高度成長の時代の政治で足して二で割る政治であったが、日本が高度成長していない現代では、選択の政治になる。どちらかは捨てなくてはならない。それは政治家が決断して、その判断が正しいかは選挙で国民の意見を仰ぐという民主主義にならなくてはだめだという主張です。そのためには多数派工作が必要で数が力である、ということになります。そこのところは草加さんがいう通りだと私も思います。
小沢一郎のメディア対策はあまり上手ではないというのは私もそう思います。本当は、もっとインターネットでの広報に力を注がないといけないはずです。ただ、メディアとの対立は、小沢一郎だけに原因があるわけではない。例えば、小沢一郎は党首や幹事長時代ずっと記者会見をオープンにしてきて、記者クラブメディアに閉ざされたものにしていません。小沢一郎に説明責任を求める人は、記者会見にいって聞けばよいだけだし、実際小沢一郎は記者会見で深沢の地所についての資金の説明もしています。それを単にメディアは報道しないだけです。小沢一郎が記者クラブメディアにとって本当の脅威だからです。だから産經新聞と朝日新聞の両方が小沢一郎を非難するという珍事がおきます。
『政治と金』というのは、小沢的なるものを象徴しているのではなく、記者クラブメディアを象徴しています。『政治と金』という言葉でメディアが言いたいことは何なのでしょうか。起訴で問題になっている、政治資金規正法の書いた時期が(検察側の解釈によると)数ヶ月違うというのが重大犯罪だということなのでしょうか。それとも、西松建設が政治団体を作って献金した場合、その政治団体の名前ではなく、西松建設の名前を政治資金報告書に書かなかったのが重大犯罪だということなのでしょうか。私はどちらもとるに足らない、言いがかりだと思います。上杉隆によると、政治資金を一円単位まで公開している政治家は二人しかいなくて、その一人は小沢一郎、もう一人が鈴木宗男だと言っています。例の深沢の地所は秘書の寮です。私の考えでは、自分で集めた金を国家国民のために使っているのは良いことであって、何ら恥じるべきことではありません。
政治にはお金がかかります。先日の米国の大統領選挙では一億ドル、約百億円の経費がかかっています。これは民主主義のコストです。『政治と金』というスローガンは、具体的な内容はなく、政治家が資金を集めることをなんだか悪いことのように印象づけるための言葉です。政治資金を民間から集めるが悪いのなら、資金の出所は税金になります。今回、検察が小沢一郎のために使ったと言われる数十億の資金はすべて税金です。これがクリーンな金なのなら、私はクリーンな金など使ってほしくない。正直言って、その税金を返してほしい。