降下物から被曝を推測する。

この降下物からの外部被曝は、地面の放射性物質の量から空間線量に変換する線量係数を調べると分かる。ただし、この線量係数も、地中への浸透によって5倍くらいの開きがあるのは述べた通り。文科省の文章を読んだ人は、家に入るといくら、校庭ではいくら、という防御による推定を加えて、ゴチャゴチャ計算しようと思えばできるのはご存知だと思う。こういうことを重ねると、どんどん現実の被曝量からはなれて、紙の上に数字を書いているだけのことになる。さらに、内部被曝になると、牛乳からこれだけ、野菜からこれだけ、と想定して、体内にこれだけとどまるとまた想定をした上で半減期も考慮に入れた線量当量係数をかけて決める。実はこの線量当量係数自体も問題があるが、問題を挙げていくと切りがないので、それは止めます。これを合計すると被曝総量が決まる。まとめると、

平均推測総被曝 = 外部被曝 + 内部被曝
平均推測外部被曝 = 単位面積あたりの降下物の崩壊数(Ci/km2とかBq/m2)
  x 線量係数
  (ここで、地面にある放射性物質から出てくる放射線の強さを計算する)
  x 家の中にいるとか防護されていることによる係数 
  (これでその放射線のうち何割を受けたか計算する)

平均推測内部被曝 = 単位面積あたりの降下物の崩壊数(Ci/km2とかBq/m2)
  x これだけ摂取するだろうという想定上の係数 
  x 線量当量係数

ここで、LNTでは、被曝線量が足し算できることを思い出すと、

総集団被曝 = Σ平均推測総被曝 x その地区の人口 
  = (A地区での総被曝 x A地区での人口) + (B地区での総被曝 x B地区での人口)…

つまり、ある地区での総被曝を想定して、そこの人口をかける、それを地区ごとで足したら、総集団被曝になる。ここで、LNTでは、癌の死亡確率は線量にのみ比例するから、

総死亡数 = 死亡確率 x 総集団被曝

これで、めでたく総死亡数がでることになる。