1980年から1990年の患者集団を入れないと、がん患者が増えているという結果にならない。

表5。これまでのドイツの研究の要約。

左側の拡大。

右側の拡大。

 ここで表5をみると、これまでのドイツの疫学調査での結果は有意差なしとありの二つのパターンがあることが分かります。この結果をみると、有意差があると結論を出しているのが、3つ、ないのが5つ。ところが、この有意差があると結論づけている3つとも1980−1990年の間の患者集団が入っています。そして、これらの研究で使っている患者の集団は独立ではなく、重なっています。このことは、このSpixの論文での調査期間がだいたい1980年から2003年であり、前半部分にしか有意差が認められない事と一致しています。この論文のデータからしても、がん患者が増えているという結論は後半の期間(だいたい1990−2000年)にはあてはまっていない。
 以上をまとめると、1980−1990年に発生した(おそらく白血病の)患者集団を入れた時にだけ、このような結果になるのではないか、という判断が妥当だと思います。