3番目の点、ストロンチウムとセシウムとの比較をします。

チェルノブイリでは、原子炉近傍に非常に高い汚染が見られます。

出典 IAEA pub 1239 Fig 3.8 Sr90の飛散状況。単位はkBq/m2
これをみると、先ほどから述べている、チェルノブイリ排除区域(30km)は大部分のところが111kBq/m2を越えて、さらにはみ出しているところもあることが分かります。それを今回の事故と比べると、


出典:文部科学省による、プルトニウム、ストロンチウムの 核種分析の結果について 2011年9月30日
ストロンチウム90、単位 kBq/m2

30km の領域と、めぼしいところの値を赤字で書いていますが、一番高いものでも、5.7 kBq/m2です。従って、

今回の事故でのストロンチウム90の汚染は、チェルノブイリより20−100分の1程度で、これを先ほどのチェルノブイリと同じ塗り方をすると塗る所がない。

ことが分かります。また、プルトニウムの飛散と、ストロンチウムの飛散をベクレル単位で比べると、

  1. チェルノブイリでは、30km圏は、ストロンチウム90が111kBq/m2、プルトニウムは3.7kBq/m2で、ストロンチウムの方が約30倍高い値を示す。
  2. 今回の事故では、30km圏内は、ストロンチウム90が一桁kBq/m2、プルトニウムは一桁から15Bq/m2で、ストロンチウムの方が100から1000倍高い値を示す。

飛散の規模としては、ストロンチウムや、特にプルトニウムは、今回の事故はチェルノブイリの数十から1000分の1程度、です。