次に、セシウムの飛散状況を比べます。


出典 IAEA pub 1239 Fig 3.6 Cs137の飛散状況、単位は kBq/m2
30kmのチェルノブイリ排除区域、キエフ、ナロブリヤ、ナロジチ、ゴメル、チェルノブイリ、プリピアットを示し、高度汚染地域の数値を示す。赤が1480−3700kBq/m2、濃いオレンジが555-1480kBq/m2、薄いオレンジが185−555kBq/m2、緑が37−185kBq/m2です。

これをみると、セシウム137の1.5MBq/m2以上の非常に汚染された領域は、30km圏のCEZだけでなく、飛び離れたゴメルの方にもあり、程度は低いがロシアの方も汚染の飛び地があることがわかります。さらに、もっと広域をみると、

出典 IAEA pub 1239 Fig 3.5 Cs137の飛散状況、単位は kBq/m2
ノールウェイ、スェーデン、フィンランドオーストリアに、40-185kBq/m2の汚染地域があることが分かります。これらの地域は、チェルノブイリから500−1000キロ離れています。この飛散状況を、今回の事故と比べます。

出典:文部科学省による放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)の作成結果を踏まえた航空機モニタリング結果(土壌濃度マップ)の改訂について 2011年8月30日 マップは7月2日基準
そうすると、先ほどの1.5MBq/m2相当の部分は、飯舘村付近をのぞき、ほぼ30kmにおさまり、遠隔地のオーストリアなどの比較的高いところは、福島の中通り相当であることが分かります。(少し数値の幅の取り方が違うので、正確には言えませんが、だいたいそんなところ)ベクレル単位で比較すると、30kmのところで、

セシウム137  60kBq/m2-1000kBq/m2 程度(方向による)
ストロンチウム90  一桁 kBq/m2
プルトニウム239+240  一桁〜15 Bq/m2


セシウム137と比べて圧倒的にストロンチウム、特にプルトニウムは飛ばない
ことが分かります。これが私の説明したかった3点目です。