高度汚染地域は奇妙な動物の楽園になる

セシウム137に高度に汚染された地域は、生態系のなかでセシウムが循環し、どこかに出て行くということはない。これは、セシウムが物理的に崩壊するまで変わらない。チェルノブイリ近郊では、人がいなくなったせいで、天然記念物のような稀な動物がもどり、野生の天国になっているという笑えない話になっている。あたかも、世界の他の部分とまったく独立に恐竜が棲息するジュラシック パークのサイトBのようなもの。ラジオエコロジー(!)の対象といえる非常に特異な地域である。さらに、セシウムの汚染地域でマイクロサテライトでの突然変異が飛躍的に進むというドゥブロバの論文(Natue, 380:683, 1996)が正しければ、ガラパゴス諸島のように独特の進化を遂げた、世にも奇妙な世界になる可能性がある。これなら科学的な意味でのガラパゴス化である。(もっとも、ガラパゴス諸島の進化は、環境が隔絶されていることでおこっているのであって、放射能汚染による分はない。)