この検証できない死亡者数は、科学ではない。
科学哲学者のカール=ポパーは、科学は反証可能性のある命題をだすことだ、と言っています。反証できないものは、宗教とか、信念とか、別にあってもよいものですが、とりあえず科学ではない。ロシアでの60万人くらいの数字なら統計をとって反証できる可能性はありますが、全世界の予測など、全世界の死者が大規模に変動するような極端な予測でない限り、統計を使った反証はできません。それだと、これは科学というより、宗教や、信念というべきもの。LNTの話のところでも書きましたが、低線量被曝の所で際限なく人口を増やせば、簡単に予測死亡者を増やせる。逆に言えば、そのような膨大な数の予測死亡者をぶちあげるような予測は必ず、『低線量被曝x巨大な人口』という方法を使っている。つまり、
『低線量被曝x巨大な人口』の手法の『予測』で分かるのは、『死亡者数』を増やしたいという政治的もくろみだけ
です。前のLNTの話の所でも書きましたが、本当の目的は、死亡者数をたてにとって、資源配分や政策を変更することにあります。あとは、かけ算がよくできました、よかったね、それだけのことです。
ちなみに、今回のECRRが出しているような、福島の原発事故で10年で10万人がガンで余分に死亡するという極端な予測は、10年以内に明らかに反証できるでしょう。書いている事は無茶苦茶ですが、ECRRの場合でも基本的な考え方は、上に示した通りのものです。ECRRの予測の場合は、彼等の信念と、計算のできないことが分かる、それだけのことです。ECRRの場合は、Tondell, 2004という論文に基づいて計算しているのですが、それについては、また後日書きます。