原発で大事なのはヨウ素とセシウムだけ。

原発事故では全ての放射性物質を考慮する必要はない。出てくる核種は色々あるが、大量に出てきて意味を持つのは、ヨウ素131とセシウム134、137だけです。これら比較的低温で気化する核種は、爆発がおこれば遠くまで風に運ばれる。ストロンチウム、ウラン、プルトニウムなどは重い核種なので、原発事故の作業員には問題になるが、周囲に住んでいる人が退避してしまった後では、一般人に対する影響はないに等しい。チェルノブイリ事故ですら重い核種は原発近傍だけしか出ていない。

重い核種は遠くに飛ばない。ウランとかプルトニウムはどうでもよい。

ストロンチウム、ウラン、プルトニウムで広域を汚染させる事が出来るのは、大気圏内核爆発のみです。日本でのこれら放射性物質の降下は1963年が最高でしたが、核実験が停止されてからはどんどん下がっている。チェルノブイリ事故でも、ヨウ素セシウムは飛んできましたが、プルトニウムは日本で観測されていない。ウランは火山活動でも出てきますが、プルトニウムは人工でしかでてこない。今回の原発事故でアメリカまでプルトニウムが飛んでいったなどという人がいるが、まず間違いである事が予測できる。

ヨウ素131は甲状腺癌をひきおこす。

原発事故によると明確に分かっているのは、ヨウ素131による小児甲状腺癌の増加だけ。もともと15歳以下である小児甲状腺癌は非常に少ない。(事故前1/1000万人/年。15歳以上の甲状腺癌なら1/10万人/年。)その小児甲状腺癌が事故10年では1/20万人/年になった。(15歳以上の甲状腺癌は1/2万人/年になった。)チェルノブイリ事故のベラルーシの場合、汚染地域が集中しているから、高汚染地域では1/1万人/年、くらいと考えて良いと思う。患者が1000倍にもなれば、問題なく因果関係は示される。(数字はチェルノブイリの今中報告、ベラルースの例による)

甲状腺癌は予防できる。食べなければよい。しかも、半年もすればなくなる。

ただし、この甲状腺癌は簡単に防御できる。甲状腺は特殊な臓器でヨウ素が集中する。ただ、ヨウ素は体には貯留せず、数日で排出されてしまう。ヨウ素131は半減期8日と短いから、ピークは最初の二ヶ月のみ。緊急退避が意味を持つのはこの二ヶ月。大量放出が終わっていれば、初期のヨウ素はどんどん下がる。しかも、ヨウ素131の内部被曝は主に葉野菜/牛乳であることが分かっているので、食品のヨウ素131の汚染度を調べ、汚染しているものを排除すれば、内部被曝は避けられる。それも長期間ではない。2ヶ月で終わる。長くても半年一年。

ソビエトの退避優先の方針では甲状腺癌を防げていない。

ソビエトでの事故ではこういう対策がとられていなかったので、無用な甲状腺癌患者を出してしまった。もし、日本で小児甲状腺癌の患者が出れば、本当に恥ずかしいこと。ソビエトの強制退避を賞賛する人がいるが、小児甲状腺癌の結果をみると、とても褒められたものではない。高度に汚染した地域は退避せざるを得ないが、癌が甲状腺に偏っていることをみると、外部被曝より、内部被曝を防ぐ事が大事というのは明白。外部被曝では甲状腺ばかり癌になることはない。福島県知事が学校給食に福島産の牛乳を出すのは、狂気の沙汰。そういう牛乳は甲状腺癌にならない老人が飲むべきもので、事故から2ヶ月も経ていない時に子供に強制的に飲ませるものではない。

甲状腺癌は手術でなんとかなる。死亡率は低い。

不幸な事にチェルノブイリは海から遠く、もともとヨウ素の摂取率が低いことも災いした。ただ、不幸中の幸い、甲状腺癌は手術がしやすいので比較的生存率はよい。4000人の患者で死亡が20人程。だが、甲状腺ホルモンは生きるのに必須なので、甲状腺を摘出すると、死にはしないがホルモン補充を一生しないといけないとか、不都合がついてまわる。この意味で、死亡率が低いと言っても、いわれのない被害を受ける人を軽視するべきではない。